空気通信:幻の後宮の功罪

最近かなり楽になってきたが、風の属性で仕立てられた迷宮に囚われているという感覚は消えることがない。そういう昨今、現実を歪めている存在に関する考察をすすめているとき、「幻の後宮」という着想を得た。それがどの様なものかというと、私を主として戴く後宮が人々の心の中に映るということである。それは、男性の羨望と嫉妬を作り出し、女性の忌避を呼ぶ。私にとっては社会生活と自由恋愛の障害となっているものだ。後宮を持つことは私を含め大多数の男の夢であるのはたしかだ。しかしそれが幻で出来ていて、後宮の主にすら進入不可能であるとき、害こそあれ良いことなど一つも思いつけない。控えめに言っても迷惑な存在だ。

視点を変えて、なぜそんなものが存在するのかを考えてみる。存在するといっても、その様な建築物があるとか、組織が実在するとかいう可能性は高くないように思える。しかし、アイデアや構想はあるのかもしれない。私には思い当たるふしが無いわけではないのだ。最近まであまり意識してこなかったが、私はミュータントなのである。この特異な遺伝子のもたらす性質のなかから、何か価値のあるものを見出した人物がいるのではないだろうか。その人物が私の遺伝子を人類に浸透させる計画を立案したと考えるならば、現状が理解可能なものとなる。

納得出来る答えが全て正解というわけではないと、冷静になりたい自分が囁くが、幻の後宮関係者には言いたいことがある。

「仲間に、ならないか?」

ぼっちは辛い状態である。それが解消出来るならば、過去の多少の迷惑ならば水に流す用意がある。そして、自分の性質の中に価値を見出してくれることには素直に喜びたい。ただし、後宮などという自分の身の丈に合わない存在を容認することは出来ないが、己を知る者の力にはなりたいとも思う。我々の間を隔てている厚くて高い壁を崩して、協調と連携の時代をスタートさせようではないか!

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