心の闇との会話

闇:「何年もかけて作った作品だろうと、売れないものは売れないのだ、このまま見返りのない作業など続けていても損をするだけだろう?」

私:「たしかに、作品が売れなければ残念な気持ちになるだろう。そして、作品制作を本職にしたいという願望は砕け散るかもしれない。けれど、作品制作の本当の目的は金儲けではなかったはずだ。メロビーニョは楽器の弾けない自分が作曲をするために、必要不可欠なツールなのだ。そして、音楽的に同じような境遇の人物にとっても不可欠なツールたりうる。だからこそ衆目の届く場所で、しっかりと告知出来れば、いくらかは売れるはずなのだ。そして、メロビーニョを求める人物の抱く音楽的創造への渇望を癒す事は、数の多少を問わず有益なことだと思う。」

闇:「ヒットしない事は解っているようだな。というより、身近でない場所でひそかにヒットしたとしても、情報牢獄の仕組みがそれをもみ消しかねない、と考えているな。結局報われないではないか。」

私:「音楽的創造への渇望は自分の中にもみなぎっている。それを癒すだけでも、十分報われていると思う。そして、音楽的創造活動を再開できれば、自分の作る作品の幅が広がり更なる収入源の開拓につながる。メロビーニョが最後の作品というわけではないのだ。また、情報牢獄が収入への道を閉ざす可能性はたしかに看過できない。だからこそ、脱出のために情報牢獄の看守を文化的に魅了する表現力を高めなければならないのだ。メロビーニョは武器だ。人を殺すのではなく、人を幸せにする武器だ。」

闇:「時勢がら音楽方面に収入を求めるのは愚かなことだろう?音楽市場は縮小の一途をたどっているぞ。」

私:「縮小しているということは、音楽市場がゼロサムゲームではない証拠。市場に新たな価値を提供できれば縮小を拡大に転じさせることも出来るはずだ。メロビーニョによって、新天地を切り開くことだって不可能ではない。演奏能力に依存する現在の音楽から、演奏能力に依存しない音楽という新境地へ至る事が出来るはずなのだ。たとえ自分にそれが出来なかったとしても、メロビーニョを使いこなすことで才能を開花させた誰かがそれをやってのけるかもしれない。」

闇:「お前のような楽天的な人間は脅かし甲斐がないな、とはいえお前の本心が失敗を恐れていることは解っている。私がこうやってお前に問うのも、恐怖を乗り越えたいからに他ならない。私はお前なのだ。」