ゲームが光をあてる2つのことわざ

■能力の異なる3人のガンマンでバトルロワイヤルを行ってみた

a.命中率99.9%の凄腕ガンマン(計算上は丸めて100%とする)
b.命中率60%の中堅ガンマン
c.命中率30%のヘボガンマン

全員ともお互いの能力は熟知していて、毎ターンとも自分が生き残る最善を尽くす戦略をとるとする。

1ターン目
aがbを狙いbは100%の確率で倒れる。
bがaを狙い、cもaを狙う。aは0.6+0.4*0.3=72%の確率で倒れcが勝利する。

aが生き残っている場合(28%)2ターン目に突入する。
2ターン目
aとcが互いを狙う。
0.28*1.0*0.3=8.4%の確率で全滅する。
0.28*1.0*0.7=19.6%の確率でaが勝利する。

まとめ
aが勝利する確率は19.6%
bが勝利する確率は0%
cが勝利する確率は72%
全滅する確率は8.4%

という有名なゲーム理論のシミュレーションがあって、考えさせられる結果をつきつけてくる。バトルロワイアルの混戦状態では、能力の高さが必ずしも勝利につながらないという皮肉な結果なのだ。「攻撃は最大の防御である」という諺は、この世界では通用しない。それが通用するのは1対1での戦いの場合や、互いの能力を考慮した戦術を展開出来ない情報不足での戦いの場合などである。で、このシミュレーションから出てくる諺は「能ある鷹は爪を隠す」である。さきほどの3人のガンマンの世界でも、各人の能力を隠すことが出来ていれば、勝率は能力順になる。有能な人物が凡庸の仮面を被るのは謙遜のためばかりではなく、生き残るための処世術でもあることを忘れてはならないのだろう。